【事業再生・倒産】
企業は、様々な事情により、事業不振に陥り、資金繰りに窮するなどの経済的窮境に立たされることがあります。企業には、従業員、金融機関及び取引先等、ステークホルダーと呼ばれる多数の利害関係人がいますから、そこでは、経営者の生活だけでなく、多くの皆さんの生活そのものに大きな影響を与えます。その影響の大きさが災いして、経営者の中には、事業不振の徴候を十分知っていながら、思い切った決断をすることができずに事業を漫然と続けてしまう方も少なくありません。しかし、経営者として不振に陥った事業を十分な対策を講じることなく続けてしまいたい思いも十分理解できますが、それは、企業の事業価値を著しく落としてしまい、結果として事業再生の可能性を狭めてしまうことになります。また、それが多くの利害関係人の皆さんの損害を拡大し、更には、経営者自身の再スタートに支障を生じさせることもあります。
当事務所では、ご相談される企業の資金繰りの状況、資産内容、窮境原因等を正確に把握したうえで、事業再生を目指す経営者の皆さんのサポートをさせて頂きます。
事業再生の手法としては、
①金融機関等の一部の債権者との間で一定の準則に基づいた交渉により事業の再建を図る準則型私的整理手続
②全ての債権者を対象に、裁判所に選任された監督委員等の監督の下、債権者の多数決による可決及び
裁判所の認可がなされた再生計画に基づき事業の再建を図る法的整理手続
などがあります。いずれの手法にも、メリットとデメリットがありますが、多数の再生案件の経験に裏付けられたアドバイスと行動により、企業の置かれた状況に適した手法を提案して実行させていただきます。
ご相談のあった企業の事業再生が困難である場合には、総債権者の利益及び経営者の皆さんの経済生活の早期再生の実現のために、破産手続等の清算手続の処理を迅速かつ適切に行います。破産手続等の清算手続に対して後ろめたい思いを抱いている経営者の方が少なくありませんが、適切な時期に事業を廃止し、企業の財産の保全に努めることは、利害関係人の皆さんの被る損害の拡大を防ぐとともに、債権者の皆さんへのできる限り多くの返済にもつながります。
また、経営者の皆さんの中には、金融機関に対して企業の連帯保証人となっていて、その保証責任を恐れて清算手続を躊躇されている方もおられると思います。現在、経営者保証ガイドラインの施行により、経営者が適時適切に財産を開示すること等を条件として、破産手続よりも個人財産をより多く残すことが可能となっています。このあたりの制度も利用しながら、経営者の皆さんの日常生活の再生の実現も一緒に考えていきます。
【取扱業務例】
- 東海三県の中小企業及び代表者個人の破産申立て多数
(建築業、縫製業、ホテル事業、美容院事業等) - 代表者個人の破産申立手続において、破産管財人及び金融機関との交渉により、
代表者個人の自宅を確保した案件 - 法人の民事再生申立て及び監督委員多数
【ご相談に当たってのご注意】
事業再生・倒産において大切なことは早期の決断です。事業再生では、経済的窮境が生じた際に早期に対応・決断をしなければ、事業価値を著しく毀損し、再生の機会を逸することになります。
また、倒産の決断を不当に遅らせることは、ステークホルダーの被害を拡大するだけでなく、企業の財産を散逸し、経営者個人の破産手続における免責や経営者保証ガイドラインに基づく保証人責任の限定に支障を生じさせることもあります。
事業の経営状況に不安が生じた場合には、早期に当事務所までご相談にいただければと思います。