弁護士インタビュー 原 武之


まず、先生ご自身の業務について教えてください。

私自身は、労務分野がメインの業務となっています。企業側の代理人として、労務問題に対応することが多いです。例えば、従業員が社外の労働組合に加入したため、その労働組合との団体交渉に出席したり、従業員と会社の紛争のなかで会社の立場を説明するなどの形で関与しています。

しかし、労務だけを取り扱っているというわけではく、それ以外にも、交通事故、離婚、相続、刑事事件、行政事件、破産・再生事件等と幅広い業務を取り扱っています。


ご自身の業務についてどのような時にやりがいを感じますか。

 いつも意外と言われますが、やはり国と戦う刑事事件や税務訴訟、国賠訴訟などはやりがいを感じます。和解もほぼないですし、間違っていることをはっきり間違っていると言えることに大きな魅力があります。特に、刑事の否認事件で無罪や不起訴となった場合は、学生時代から持っていた弁護士というイメージと一致して、自然と気分が昂揚します。


コロナ禍で働き方は変わりましたか。

 やはりWEB会議が増えて移動が少なくなったことと、遠距離のお客さんも気軽に相談できる場合が増えて、静岡県のお客さんなどが増えたと思います。今までは気軽に相談できないからと紹介されることはなかったのですが、WEB会議ですと気軽にすぐに相談できますので、それなら詳しい人に聞きたいと思って、紹介していただけるようになったと思います。


今までの仕事で一番印象に残っている仕事はありますか。

 負けた事件はいつも申し訳ないと思っていますし、今でも後悔があります。常にできる範囲で一所懸命にやっているつもりですが、主張したことが十分ではなかったかなとか、尋問の練習でもっとできたのではないかと思いかえす事件がないわけではありません。そのような事件は忘れられないです。

 ですから、そう思っていた事件の依頼者がまた相談に来てくれたり、誰かを紹介してくださると非常にうれしいですし、心に残ります。ちょっと質問に対してずれた回答になっているかもしれないですが、印象に残るのは案外そういうことだったりします。


どのようなことを心掛けてご自身の業務にあたっていますか。

 簡単にあきらめないことだと思います。私は緻密なところは苦手なので、私に相談する依頼者は何か知恵がないか、簡単にあきらめないところを頼ってきてくれると思っています。そのため、安易にできないと断るのではなく、ここまではできないけど、ここまではできるという回答をできるよう考えるようにしています。ただ、このような限界点の判断は非常に難しいので、その点は謙虚に自分の限界も知らないといけないと思っています。


先生はオリンピア法律事務所を設立したメンバーであるとのことですが、なぜ、オリンピア法律事務所を設立したのですか。

 弁護士の魅力は自由にあるので、何でもやりたいことをやればよいと思っていますが、一方で、一人というのは孤独でもあります。一人で事件を処理していく中で心配事、悩み事がたくさん出てきて、いろいろなストレスも感じます。それを解決するためにいつでも気軽に相談できる仲間が必要だと思います。特に、若い時に近くに年齢も経験も近い仲間がいることは非常に心強く、そして切磋琢磨できると思うのです。そのために、いくつかの法律事務所に声を掛けて一緒にやっていくことを決め、オリンピアは誕生しました。


事務所全体での取扱分野の特徴は何ですか。

 パートナーによってそれぞれ特徴があります(例えば、会社側にたっての建築請負問題や労務問題、倒産・再生、海外渉外などです)が、事務所全体では特にこの分野だけが多いというものはないと思います。かなり広い範囲の案件を取り扱っていると思います。

弁護士である以上広い分野に対応したいという思いがあると思いますし、まず広い分野を見てもらい、その中で自分がやりたいなと思う分野について専門性を高めてもらうことがよいことであると思います。そのため、事務所全体としては満遍なくどの分野も対応できるようにしたいなと思っています。


新人はどのような形で案件に入っていくのですか。

 どのパートナーのアソシエイトというのではなく、アソシエイトは事務所のアソシエイトなので、パートナー全員から仕事を受けることになります。多くの場合は、パートナーが新しい事件を受任する時に一緒に相談に入らないかと声をかけて一緒に相談を聞いてスタートします。あとは簡単な事件から初めて、徐々に1人で相談を受けて期日に出頭するという感じになっていきます。

事件数などは、案件報告会などを開催して多くなり過ぎないように調整をしたりします。アソシエイトも年次を重ねていくにつれてそれぞれ関心のある分野がでてきますので、それに応じて関心のある分野の案件に声がかかることが増えていくことになります。そうやって、自分の興味のある分野の経験が増えていくことになります。


働き方(スケジュール)について教えてください。

 弁護士は専門家ですので、ある程度忙しい環境となっており、それは仕方がないと思います。私が新人の時は、一緒に仕事をしていたパートナーに3年頑張ってついてきたら1人前にしてやると言われて3年間頑張ろうと思ってやってきました。結果的に1人前になれたかはわかりませんが、一生懸命やったことは間違いないと思っていますし、その3年間が今の弁護士としての土台となっていると実感しています。

 ただ、時間を長く使うことがよいというわけではないと思っています。たとえば、家族、子育て、介護などそれぞれ個別の事情がありますし、その人たちの生活状況を無視して仕事などできませんし、してはいけません。その場合は、使える時間を教えてもらって、その範囲で一所懸命頑張ってもらえばよいと思っています。


当事務所の強みは何だと思いますか。

 所属弁護士それぞれに強みがあるので、困った時には知恵を借りたり、一緒に事件をして総合力で対応できるところだと思います。

また、どんな職場でも、成長している実感が持てるところは幸せだと思います。人が増えたり事件が増えたりすれば、自分や事務所が成長していることを肌で感じられると思います。そのように成長を実感できることも大きな強みであると思います。


今後の目標は何ですか。

規模がすべてではないとしても、目下の目標としては、やはり30名くらいの弁護士がいる法律事務所にして、総合力をもっと強化したいと思っています。この総合力を生かすためには支店は設けず、1つのオフィスの中にみんながいて議論しあえる、そんな事務所にしたいと思います。


どんな方に来ていただきたいですか。

 私たちに相談してくださる依頼者は自分では解決できないから相談に来ていただいています。それに対して、裁判例があるからできませんとか簡単にあきらめるのではなく、こう考えたらできるのではないか、と考えて提案できる人に来てほしいと思います。そのため、法的な議論を考えてできる人に来ていただいと思っております。

人を助けたいとか社会の役に立ちたいとか、そういう思いも当然大切ですが、まずは自分に力がなければ人を助けることも社会を変えることもできないので、あきらめずにチャレンジし続ける人に加わってもらいたいです。


これから弁護士を目指す方々へメッセージをお願いします。

 物の捉え方や考え方はたくさんあることを理解して、一つの考えに凝り固まらないで柔軟な思考を持ちつつ、間違っていることは間違っていると強く言える強さをもってほしいと思います。本当に間違っていると思うなら最後の1人になっても言い続けられる強さを持ちたいなと私は思っています。

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