お知らせ

和田圭介弁護士がインド・ニューデリーを視察しました。

1. はじめに
愛知県弁護士会の国際委員会が主催するインド・ニューデリー視察旅行に、2026年2月7~12日日の日程で参加してまいりました。人口14.5億人を擁し、平均年齢約28歳という圧倒的な若さとパワーを誇るインド。数日間の滞在ではありましたが、急速に再開発が進む都市部の活気と、それを凌駕するほどの人間エネルギーに圧倒された視察となりました。

2. ニューデリーの印象
ニューデリーの街を一言で表すなら「カオスと喧騒」です。鳴り止まないクラクション、5車線道路を車線無視で突き進む車両の列など、インフラ整備を上回る交通量には凄まじいものがあります。
平均年齢49歳の日本と比較し、極めて若い人口構成は街全体の熱量として表れており、深夜まで営業する店舗の多さからもその活気が伺えました。先進諸国の人口減少予測を鑑みれば、今後、若年層にあふれた「インドの台頭」が確実視されることを肌身で感じる光景でした。

3. Jindal Global Law School 訪問
2009年設立という比較的新しい大学ながら、外部評価で既にインド国内トップの評価を受けるロースクールです。広大な敷地内には、最高裁判所を模した豪華な模擬法廷や「憲法博物館」が併設されており、同国の法曹養成に対する並々ならぬ熱意が伝わってきました。

4. 裁判傍聴:デリー高等裁判所 (Delhi High Court)
裁判傍聴では、日本の実務との劇的な違いを目の当たりにしました。
日本の民事訴訟が書面審理中心で静粛かつ整然と進むのに対し、インドの法廷はまさに「動」の世界です。e-Filing(電子申立て)導入済みであるにもかかわらず、徹底した口頭弁論主義が貫かれており、弁護士と裁判官が激しく応酬する姿が印象的でした。
黒い法衣を纏った多数の弁護士が待機し、一つの事件が終わると次の弁護士が即座に入れ替わる様子には圧倒的な熱気があります。一方で、この口頭主義の影響もあり、裁判の長期化(15年以上継続することも珍しくないとのこと)が課題となっている点に、インドにおける紛争解決の難しさが象徴されていました。
また、裁判所の隣にはデリー国際仲裁センター (DIAC) が設置されていました。訴訟の遅延を代替的紛争解決(ADR)で補完すべく、夜遅くまで稼働しているとのことで、インド司法の現実的な側面を垣間見ることができました。

5. 日本大使館
インドで奮闘する日本人および日本企業への支援活動についてお話を伺いました。官民一体となってインド市場に切り込む重要性を再確認する機会となりました。

6. 現地法律事務所への訪問
日本のクライアントを多く抱える「Lakshmikumaran & Sridharan Attorneys」および「KNM & Partners, Law Offices」を訪問しました。
インドには100万人以上の弁護士が在籍する一方、スキルに大きな開きがあるため、適切な弁護士選任が極めて重要となります。両事務所からは、日本企業が直面する課題やそのアプローチ方法について有益な知見を得ることができました。
特に、行政手続きのデジタル化が進展している背景には「公務員の汚職・賄賂の撲滅」という目的があるという視点は非常に興味深く、信頼できる現地弁護士とのネットワーク構築の重要性を痛感いたしました。

7. おわりに
今回の視察を通じ、インドの「圧倒的な熱量と、言葉でぶつかり合うリーガル・カルチャー」に深い感銘を受けました。2029年にはGDPで世界3位に浮上すると予測されており、グローバル社会におけるインドの存在感は今後ますます高まっていくはずです。本視察で得た知見とネットワークを、今後の実務に活かして参りたいと存じます。

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