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和田圭介弁護士が中国・大連の司法・法曹界を視察しました。

和田圭介弁護士は、2025年8月2日から5日に中国・大連の司法・法曹界を視察しました。

大連市は中国東北部で最大の工業港湾都市で、日系企業の進出が盛んであると同時に、歴史的建造物や美味しい海鮮料理など観光地としても魅力的な都市です。
中国の司法・法曹界の現状を、大連律師協会との交流や、現地法律事務所の訪問、裁判所または仲裁委員会の訪問等を通じて視察してまいりました。

2025年8月2日から5日にかけて、愛知県弁護士会・国際委員会の企画により、中国・大連市の視察旅行に参加しました。今回の視察は、2025年3月25日に愛知県弁護士会と大連市律師協会との間で友好協定が締結されたことを受けて、交流を具体化するべく実現したものです。現地の律師協会、大連国際仲裁院、大連市破産管財人協会、そして現地の有力法律事務所を訪問してまいりました。

大連市は中国東北3省(遼寧省・吉林省・黒竜江省)の中核を担う港湾・工業都市です。日本との深い歴史的繋がりもあり、現在も多くの日系企業が進出しているほか、日本語に堪能な現地の方も多く、日本にとって非常に親近感のある都市です。人口は約609万人(2024年時点)と、愛知県や名古屋市と比較してもその規模の大きさが際立っています。経済面では、1978年の改革開放から長きにわたり急成長を遂げてきましたが、近年は国際情勢や不動産市場の変化を受け、新たな安定成長のフェーズへ移行しようとしているようです。

中国全体の弁護士数は2025年時点で約52万人(日本は約4.7万人)と、日本よりも規模が大きくなっています。大連市律師協会は、約450の事務所、6,515名の弁護士を抱える組織であり、特筆すべきは45歳以下の若手が全体の64%を占めているというその躍動感です。多様なキャリアパスを模索する若手も多いとのことですが、法曹界全体が非常に高い熱量を持って切磋琢磨している印象を受けました。

大連国際仲裁院では、国際仲裁手続の運用について意見交換を行いました。大連では1,244名の仲裁員(うち日本籍6名)が登録されており、通常案件で4か月以内、簡易プロセスで2か月以内という、解決に向けて徹底したスピード感が追求されています。この「迅速性」は裁判制度にも共通しています。中国の民事裁判は1審が原則6か月以内とされており、実務上も、書面提出は、原告被告双方が原則1回、その後2〜3時間の口頭弁論で決着をつけるというイメージとのことで、極めてスピーディーな解決が図られています。さらに、AIによる裁判官の業務補助など、先端技術を積極的に取り入れる姿勢には、日本のDX推進を考える上でも多くの示唆がありました。

大連市破産管財人協会への訪問では、実務の独自性について理解を深めました。例えば、中国では「誠実な履行」を重視する文化的背景もあり、現在は企業破産を中心とした運用がなされています。また、裁判所と協会が連携して管財人を選任する仕組みや、資産売却における透明性の確保など、中立性・公平性を維持するための厳格なガバナンスが構築されていました。

法律事務所の視察では、現地の最大手の法律事務所である「大成(Dentons)」や「盈科(Yingke)」、そして「華夏(Huaxia)」を訪問しました。特に、エントランスの大型モニターで受任実績や稼働状況を可視化する「デジタル運営プラットフォーム」は圧巻であり、そのIT投資の規模と合理的な経営スタイルは驚くべきものでした。

「テクノロジーを駆使した迅速な解決」という中国法制度の効率性と、それを支える法曹界のエネルギーを肌で感じた5日間でした。今回の視察で得た貴重な知見を、今後の実務対応に活かしていきたいと思います。

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